【要約】 朝のだるさや疲れが抜けにくい背景には、背骨やお腹の緊張、呼吸の浅さなど複数の要因があります。整体の視点から解説いたしました。
(このコラムは約 8〜10 分 でお読みいただけます。)私が日本を離れる10年ほど前、すでに「朝起きた瞬間からもうダルい、土曜は一日中寝てしまい、日曜の午後からようやく休日らしいことができる」とおっしゃる患者様は何名かいらっしゃいました。
そういった方のお体は、まずは背骨が硬い、というのがあるのですが、それ以外にもミゾオチが硬い、頭皮が硬い、などが特徴的でした。
オランダではどうだったかというと、世界で3番目によく寝る国なので
「昨日は7時間しか眠れなかったから朝からだるいわ…」
などと言われる事も多く、(充分じゃないかな…)と内心思いながら ’Oh that’s bad’ とか答えておりましたが、やはりミゾオチや、胃袋の神経叢のあたりがグッと硬くなっている方が多くいらっしゃいました。
今年からまた日本に帰って参りまして、まだ最近の日本人のお体の傾向を充分にはつかめていないのですが、どうも「朝バテ」という言葉ができているくらいなので、寝て起きた時から具合が悪い、という方がかなり増えていらっしゃるようですね。
原因について、誰でも思いつくのは「眠りが浅い」という事だと思いますが、ではなぜ眠りが浅くなるのか?については
気温のせい、天気のせい、ホルモンバランス、栄養が足りない、呼吸が浅い、寝る前にスマホを見るからいけない、
と色々なことが言われているようで、いずれもその通りと言えばその通りで、ごもっともだとは思います。
しかし、では季節の変わり目でも更年期でも、台風の前だろうがダイエット中だろうがベッドでスマホを見ながら寝落ちしようが、グッスリ眠って朝からピンピンしている人たちはなんなのか?いったい何が違うのでしょう。
整体では、人体力学の見方では、それは端的に言って
背骨に弾力があるかどうか
の違いだと考えています。
子猫をだっこすると丸くてあたたかい、呼吸する毛玉のような感じがすると思いますが、老猫だと「骨」を感じるのではないでしょうか。
同様に人間も、子供や若者は背骨でも柔らかく感じられますが、老人は背骨が硬くなりデコボコと飛び出して恐竜の背びれのようになっていたり、ひどくなると竹ぼうきのように、節くれだった棒のようになってきます。
ところが、まだ若いのにチョット老人のような背骨の方がいる。そういう方は、背骨をささえる周囲の靭帯、腱や筋肉が硬いので中を走る脊髄や、両わきを走る神経の流れが悪い。だから脳からの指令を大声にしないと、なかなか体が言うことを聞いてくれない。
また、自律神経の切り替えも悪いので寝ようと思っても眠れず、起きようと思ってもなかなか起きられない。
背骨からの神経は筋肉だけでなく、内臓の方にも走っておりますので、背骨が硬くなって流れが悪くなると胃腸の調子も悪くなる。だから朝は食欲がない、食べると下痢をする、だから食べているのに栄養が吸収できない。もしくは婦人科のほうに来るとホルモンバランスが乱れる、泌尿器に来ればトイレが近くなる、ということも起こり得ます。
なぜそういう、背骨の硬い方が増えているのかが問題ですが、「新型コロナ以降に急増した」ように見えることを踏まえて、整体の立場から申しますと、
人々が熱を出さなくなった
という事が大きいのではないかと思います。コロナ禍以前はもっと人と人との距離は近く、それが風邪やインフルエンザウイルスを媒介して、人々はもっと発熱しておりました。
これは近代医学とは違う考え方なので、ちょっと書くのは気が引けるのですが、「整体」という思想の核心で、どうしても説明を避けては通れないことなので、勇気を出して申し上げますと、
整体では100年前から「発熱とは、こんなに良いものはない」と言われ続けて来たのです。
西洋医学的にも、発熱は自然な免疫力の働きなので、むやみに薬で下げるものではない、発熱後には白血球が一気に増える、と言われています。ただ、整体ではそれ以上に「発熱とは脱皮」と言われているのです。
幸い、最近ではヒートショック・プロテインというものが発見され、発熱によって若返り、美肌、ストレス回復などの効果が期待できることが広く知られてきました。
私の長年の経験でも、患者さんのお体を丁寧に触診していると、しっかり発熱した後はみなさま背骨が柔らかくなり、筋肉はふっくら、お肌はツヤツヤになっております。
私のイメージでは、「乾燥してカチカチの古いパンが、焼きたてパンになった」くらいに変わることもよくあります。
ところが、新型コロナは人類が初めて経験するウイルスですから、体の方もうまく反応ができません。「熱が出るから良いんだよ」と言うにはリスクが大きすぎますので、マスクなどで適切な防御をするべきだと考えます。
しかし、そうなると風邪やインフルにもかかりにくくなる。それは医学的には喜ばしい事だと思いますが、整体の立場から見ると
「体がリフレッシュする機会が失われている時代」
という事にもなるのです。
その他にも、コンピューターワークが増えて目と指先のつかれから脳神経が過敏になり、頭皮まで硬くなったりとか、スマホを長時間使うことで腕、首が疲れてそれが肋骨を固めてしまい、呼吸が制限されて浅くなったり、と「現代病」という要因もあります。
これらが「しっかり寝たはずなのに、朝から体がだるい」方が増えている複合的な理由、と言えるでしょう。
次に「では、どうするか?」という対処法を整体の立場から申し上げます。
① 背骨をゆるめる…先述のように、背骨には太い神経が走っておりますので、その弾力を取りもどすことで神経の流れを回復し、自律神経のバランスを回復し、臓器へのコントロール指令も敏感に届きやすくすることが最優先されます。
そのためには人体力学体操がベストですが、よくわからなければ当室にお越しいただければ、直接みなさまの背骨を確認して、施術の後にオーダーメイドの体操をご指導いたします。
② お腹をゆるめる…漢方では「万病は腹中にあり」、医学の祖ヒポクラテスは All disease begins in the gut と言ったくらい大事な場所で、お腹にはいくつもの神経叢があり、「腸は第二の脳」と呼ばれるほど大きな神経ネットワークを持っています。また横隔膜も硬くなると深い呼吸を制限してしまいますので、そんな大切なおなかをフワフワにしてあげる事もとても大事です。
③ 熱を出し切る…そのように、背骨にもお腹にも弾力がでてくると、ウイルスにせよ、季節の変化にせよ、対応するために適切なタイミングで体は発熱し、発汗し、脱皮してくれます。
それを闇雲にこわがって薬で止めるのではなく、これで元気になって若返るぞ、子供さんなら成長ホルモンが出て背が伸びるぞ、知恵がつくぞと楽しみにしてみる。すると、ほとんどの場合は、意外なくらいラクに経過していきます(発熱の経過のさせ方については、長くなりますので別の記事でご紹介いたします)。
さて、話が長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
朝から体が重い、寝ても寝てもつかれが取れない、そんなお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。ていねいにお体を拝見し、あなたの体調、体質に合った方法をご提案いたします。
スマホのバッテリーを交換するように、一気に体力を回復できるとは申しませんが、一歩ずつでも、爽やかな朝の目覚めを取り戻すお手伝いができるかと存じます。